在宅型複合施設の貯雪庫を
「雪室リノベーション」
上越市安塚区和田の在宅型複合施設の雪冷房用として、平成12年(2000年)に貯雪庫が建設された。ところが、平成23年(2011年)に発生した長野県北部地震の被害を受け、貯雪庫以外の施設は解体。5年後、貯雪庫を雪冷蔵貯蔵施設として活用するためにリノベーションされ、自然対流方式を取り入れた雪室として生まれ変わった。平成30年(2018年)度には、搬入・搬出の際の温度変化、外気の流入や内部冷気の流出、衛生面への影響、鳥などの侵入などを防ぐために、風除室を設置した。
安塚中学校に雪冷房を導入
平成15年(2003年)度に導入された安塚中学校の雪冷房は、太陽光発電と組み合わせた自然エネルギー循環型システム。雪冷房に必要な電力機器(循環ポンプなど)を太陽光発電でまかなう仕組みとなっていて、光熱費ゼロを実現している。雪解け水は夏の渇水期における水資源として、スクールバスの洗車やトイレの洗浄水として利用されている。
雪室の新しい時代へ
冷蔵技術が発展して昭和30年代に一度は消えてしまった昔ながらの雪室。しかし近年になり、省エネへの意識の高まりから再び注目されるようになってきた。現代的な新しい雪室は、ただ単に雪を貯めるだけでなく、送風機や熱交換器といった最低限の機械の力を使うことで、雪解け水を循環させて部屋の温度をコントロールしたり、雪で冷やされた空気を循環させて室温を一定にすることができ、さらに便利なものへと進化している。石油や天然ガスなどを輸入しなければならない他のエネルギーと異なり、雪は冬になれば空から降ってくるもの。資源の少ない日本で、この豊富なエネルギーを利用しない手はない。雪はまだ大きな可能性を秘めているはずだから。